コラージュの素材として古典絵画の図録などをよく見ます。
その時気がつくのは、女性は大抵の場合髪を結っていて、下ろしている人はあまりいないということです。
モナリザの髪型は即ち、かなり珍しいのです。
実際、16世紀において髪を下ろしているのは少女か娼婦であったとか。
モデルと有力視されている豪商の妻があの髪型なのは、不思議です。
案の定、近年カナダ国立研究機構というところが3D技術を用いてモナリザを解析した結果、彼女は元々髪を結っており、後日、ダ・ヴィンチが髪を下ろした形に描き変えた可能性があるとのことです。
一方、モナリザは、骨格などからダ・ヴィンチ自身の肖像であるという説があります。
また、幼い彼を残して他家に嫁いだ母親のイメージが投影されているとも言われています。
母と子なら似ていても不思議はありません。 彼はこの絵を亡くなるまで手元に置いておきましたし、理想化されつつも不可解な、少女にして娼婦たる母の存在を、あの髪型は示唆しているのではないか、と私自身は想像しています。