夕方電車で座っていて、目の前に立っていた中年の男性のズボンの膝の裏側についたしわに目がいきました。 
ベージュの張りのある生地で、その部分だけかなりしわしわになっていたのですが、菱形が入り組んだようなそのしわのジオメトリックな陰影が夕刻の弱まった斜めの光の中でひっそりと際立っていて、とても美しく見えました。 

世の人が全員、美術をしていたらいいのに。普段生きていく中でおもしろいことが増えるのは確実だから・・、と思うのはこういう時です。 
高校生の頃同窓の男の子が、自分の好きな女の子のことについて、「どうしてみんなが好きにならないのかな」と不思議そうに言っていたのを今でもほほえましく思い出すことがありますが、そのような無邪気な考えであって、もちろんそんな世の中は訪れるはずもない。 

ただ、訪れることがないことを前提に言うならその時、地上から戦争は消えると思います。